気象集誌. 第2輯
Online ISSN : 2186-9057
Print ISSN : 0026-1165
ISSN-L : 0026-1165
中層降水雲のレーダーエコー構造と雨滴電荷(I)
Generating cellsからの降水粒子の混合過程
藤吉 康志高杉 年且後町 幸雄武田 喬男
著者情報
ジャーナル フリー

1980 年 58 巻 3 号 p. 203-216

詳細
抄録

中層降水雲の観測を,垂直レーダ,電場計,雨滴粒度•電荷測定装置を使用して行ない,雨滴の電気的特性が雲の微細構造及び雲内の微物理過程の変化と共に,どのように変化するかを調べた。
主な結果は次の通りである。generating cellの多くが活発な状態にあり,-10°C高度から0°C高度にかけてエコー強度が大きく増加するような降水雲系からは,正に帯電した雨滴が卓越して降り,帯電量の平均値も極めて大きかった。観測した降水雲系全体として,雨滴1個当りの正の電荷と負の電荷とは,ほぼ同位相で,その大きさは変化し,帯電量も互いにほぼ等しかった。然し,正又は負に帯電した雨滴の数フラックスは,帯電量の変化とは必ずしも同位相ではなかった。雨滴の最大直径の時間変化と雨滴の帯電量の大きさとは,比較的良い相関が見られた。
これらの主な観測結果は,活発なgenerating cellから降る正に帯電した粒子が,衰弱したgenerating ce11かう降る負に帯電した粒子と,落下中に高度より上で混合し,これらの降水粒子が併合過程により成長すると共に,摩察過程によって再帯電したと考えることにより説明される。

著者関連情報
© 社団法人 日本気象学会
前の記事 次の記事
feedback
Top