気象集誌. 第2輯
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冬期モンスーン循環におよぼすチベット高原の影響第II部日変化
村上 多喜雄
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1981 年 59 巻 1 号 p. 66-84

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抄録
用いたデータは第I部と同じく冬3ケ月(1978-79)の00GMTと12GMTにおける風,気温,高度場である。これらのデータから3ヶ月平均の12時間差(12-00GMT)を各量について計算した。以下の記述において風気温および等圧面高度はすべて12時間差を意味する。
アラビヤ海,ベンガル湾,南支那海上空では,温度は高さとともに波状(振幅0.5°C,波長5-10km)に変化し,風は時計廻りに廻転している。これらは垂直伝播性の大気振動の様相に似ている。一方ヒマラヤ上空では温度は指数的に減少し,風の垂直変化は場所により大きく異なる。これらはヒマラヤによる局地的地形の影響によるものと思われる。
アッサム地方では急斜面にそって日変化にともなう強い垂直循環がみられる。そこでは暖かい空気が南風となって強制上昇している(日変化による運動エネルギーの生成),チベット高原全域にわたってしらべてみると,下層(850•700)では高原に向って吹きこんでいるが,上層(500,300)では高原から吹き出している。したがってヒマラヤ全域では平均して上昇域になっている。(00-12GMTでは下降域)。この垂直循環にはアッサム地方における貢献がもっとも大きい。
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© 社団法人 日本気象学会
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