抄録
熱帯における浅い積雲からの温かい雨の電荷発生機構及び降水機構についてハワイ島での長年にわたる研究結果をまとめた。
降水にともなって地上電場は負になり,これは負イオンが雲頂近くから地上に下降気流で運ばれたためと,100台近い特殊ラジオゾンデの結果から推定された。その過剰負イオンは雲頂で水滴が蒸発中に発生することが実験から求められ,この効果を入れたモデルがよく観測結果を説明した。
300時間以上の飛行機観測で巨大海塩核は,降水の成長に寄与していないこと,降水粒子は主に雲頂近くのうすい層で起っていることが示され,雲頂での雨滴の形成が降水の発達に必要なことが示された。
積雲の3次元モデルは水平風の下降気流による運搬と降水発達の関連について強調した。
最後に将来の温かい雲の研究方針について述べた。