気象集誌. 第2輯
Online ISSN : 2186-9057
Print ISSN : 0026-1165
ISSN-L : 0026-1165
海洋上の大気境界層における乱渦の3次元空間構造
内藤 玄一
著者情報
ジャーナル フリー

1982 年 60 巻 6 号 p. 1299-1315

詳細
抄録

海洋上の大気境界層の構造を海洋観測塔の周りの数箇所における風ベクトルと気温の測定実験から調べた。そして乱流の空間相関を,中立に近い状態の接地層での周波数別乱渦の振舞から評価した。
風ベクトルと気温のコヒーレンスは,平均風速と高度で無次元化した周波数と高度で無次元化した距離の唯一の関数であると考えられる。更に3次元空間のコヒーレンスと鉛直方向の位相スペクトルをそれぞれ指数関数と代数関数で定式化し,気流の多点同時観測によってこれらを確めた。しかし2点の距離が非常に大きいとき,風速の横成分と鉛直成分はこの実験式に必ずしも従わない。
周波数別乱渦の積分スケールをコヒーレンスの実験式から与えた。そしてそれの接地層の特性に対する関係について議論した。乱渦の傾きを,観測した鉛直方向の位相スペクトルと積分スケールから与えた。

著者関連情報
© 社団法人 日本気象学会
前の記事
feedback
Top