気象集誌. 第2輯
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南シナ海域における積雲対流活動と寒気南下との相互作用
Fu-Cheng Zhu
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1983 年 61 巻 6 号 p. 839-847

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抄録
FGGE III-Bデータを用いて,冬のアジア大陸からの寒気の南下と,南シナ海域の積雲活動との相互作用を調べた。寒気の南下に伴う北東気流は,その前面で積雲活動を活発化させ,通過後は下層を冷やし,乾燥させて大気の成層を安定化し,積雲活動を押さえる。積雲活動の活発化に伴い,上層では発散が顕著に現れる。また,活発な積雲対流群は常に成層が不安定(500mbと1000mbの相当温位の差が-10°C以下)で,下層に大きな収束(収束量が10-5s-1以上)がある領域でおきている。
強い寒気侵入がおきた1978年12月14日の事例解析では,寒気の南下とそれに伴う積雲活動の活発化によって,局所的に顕著な子午面循環ができていることがわかった。その時の大規模上昇速度は鉛直分布は,通常,熱帯西部太平洋で得られている分布と類似している。収支解析によって,積雲対流は,雲域および周囲の雲の少い領域の大気の成層を安定化させていることがわかった。
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© 社団法人 日本気象学会
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