台風域内の非対称風と移動との関係について数値シミュレーションの資料を用いて調べた。風を方位方向平均との差で非対称風をあらわすと,移動方向に向って,低気圧の左側に低気圧性渦動を,右側に高気圧性渦動が観測される。
下層収束層で1.8°経の内側(内域)と1.8°~9.5°経の間(外域)の平均風を作ると発達期には低気圧はその中間の方向に進み,衰弱期には内外域の平均風の方向はほぼ一致する。上層発散層の非対称流はあたかも渦をさけて流れるように見え下層の非対称流と異なった特徴を示す。これは上層において1.8°経上で移動方向に高気圧部が見られることと対応する。