気象集誌. 第2輯
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海陸風の風向日変化に及ぼす水平移流項の影響
楠田 信阿部 信男
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1989 年 67 巻 2 号 p. 177-185

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抄録

海陸風の風向変化に及ぼす水平移流項の影響を、既に発表されている大分市、カリフォルニアとワシントン両州での観測資料を用いて調べた。そのデータを解析するに先立って、特定の観測点における風向の日変化を定量的に見積ることが出来るように Neumann (1977) が導いた式を改良した。その結果、海風楕円の回転方向と離心率の両方を観測データから調べることが可能になった。一方、その風向日変化の式から風向変化に与える気圧傾度力、摩擦力それぞれの影響を見積ることが出来る。その式を用いて上記3ケ所での風向日変化に与える水平移流項の影響を調べた結果、次のことが分かった。
海陸風楕円は、地球の自転に基ずくコリオリカの影響によって時計回りに回転することが多い。しかし、上記3ケ所の観測データから、場所によっては海陸風楕円の回転方向が反時計回りになることが示される。しかも、その観測点を含む地域の水平移流項の影響が、コリオリカの影響を超えて海陸風楕円を反時計回りに変える可能性がある。

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