気象集誌. 第2輯
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海洋大陸の島嶼による地表摩擦の大気への影響について
鬼頭 昭雄山崎 孝治
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1991 年 69 巻 2 号 p. 241-249

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抄録
インドネシア周辺の「海洋大陸」には多くの大気大循環モデルでは表現できない小さい島が多数存在する。この論文では従来無視されてきたこれらの小さい島の効果を導入する最初の試みとして、海の格子点であっても島がある場合には抵抗係数を増加させてその影響を評価してみる。海洋大陸において島による抵抗係数増加の影響は水蒸気フラックスによる収束を強めて降水量を増加させる上で効果的であることが分かった。赤道太平洋では元来ある東西循環が強まりインド洋でも下部対流圏での西風偏差ができる。アジアの夏のモンスーン及びオーストラリアの夏のモンスーン双方にとってもその平均場のみでなくモンスーン循環の季節内変動やモンスーンオンセットにも影響する。これらの結果は水蒸気フラックス収束と加熱とのフィードバックの大きい海洋大陸において、グリッド内での海と陸の混在を考慮した地表面過程のパラメタ化が特に重要であることを示唆している。
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© 社団法人 日本気象学会
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