気象集誌. 第2輯
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一般化されたラグランジュ平均(GLM)理論と変換されたオイラー平均(TEM)理論の統一形式
三村 和男
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1992 年 70 巻 6 号 p. 1023-1036

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抄録

一般化されたラグランジュ平均(GLM)理論と変換されたオイラー平均(TEM)理論が統一形式において再構築された。
オイラー的情報とラグランジュ的情報の相互の翻訳が可能であるという基本的な前提条件を応用して、2種類の標準型を持つ支配方程式系の対構造が明らかにされた、そして、それらは各々ラグランジュ的視点とオイラー的視点に対応している。これら2種の標準型のいずれか一方だけでも連続体概念の完全な方程式系を形づくり、そして一方から他方へ簡単に変換することができる。
従って、いずれか一方の標準型を持つ連続体方程式の新しいセットを導入しさえすればいつでも、新しい仮想的連続体が定義される。そして、この新しい連続体の支配方程式系もまた、元の方程式の場合と同様に、簡単に様々な型(他方の標準型やマテリアル型)に変換され得る。新しい従属変数の定義が本質的である、なぜならこの仮想的連続体はこれらの定義に起因する任意性を持っているからである。また、この新しい支配方程式系は初期条件とか空間的対称性のようないかなる物理的前提条件も無しに定式化される。
ラグランジュ平均連続体において新しい従属変数の形とそれらの付加項を選択することによって、GLM理論が再構築される。そこでは元の粒子群を代表する新しい粒子が、元の粒子群のラグランジュ平均位置に存在し、ラグランジュ平均速度で移動する。
同様に、オイラー平均連続体におけるひとつの選択肢として、TEM理論が再構築され、そこではある領域の代表としての新しい粒子が、新しいラベルを持ち、ある変換された速度で移動する。
これらの再構築の副産物として、両理論における非加速定理が調べられ、若干の拡張が得られた。

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