1992 年 70 巻 6 号 p. 1137-1146
この研究では、北太平洋領域での1950-1988冬の地上気圧及び500mb高度の10年スケールの変動を調べた。この2変数の非対象成分の殆ど(一95%)は長波(波数1-4)で説明されるため、この波数での10年スケールの変動を議論の対象とした。主として次のことが見いだされた。(1)地上気圧と500mb高度の10年スケールの変動はほぼ順圧的で順定常的な長波で起こっている。(2)10年スケールの500mb高度の変動のパターンは、39冬期平均のパターンの位相と90度ずれている。(3)太平洋における地上気圧と500mb高度の下降と上昇は、より低緯度の西風の強化と弱まりに伴っている。
NCARのCCM.V1を用いて、気候値のSSTを与え1月を持続させた基•準実験に対して、1950-1959年及び1979-1988年の(1950-1988年39冬期平均からの)偏差を与えて数値実験を行った。この数値実験によって、この研究で報告された大気循環の10年スケールの変動は、10年スケールの熱帯•温帯北太平洋の海面水温変動に関連していることが証明された。