気象集誌. 第2輯
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半乾燥地域で夕方に観測された水蒸気圧の顕著なピークについて
塚本 修王 介民光田 寧
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1992 年 70 巻 6 号 p. 1155-1160

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抄録

周囲を砂漠で囲まれた中国西北部のオアシスで、夕方になると水蒸気圧に顕著なピークが観測されることがわかった。これは夏の晴天で風の弱い日に特徴的に見られる。
地表面付近でのフラックス観測や上層のゾンデ観測から、この原因として以下の様なことが考えられる。周囲の砂漠よりも湿潤で低温なオアシス上空に高温•乾燥の砂漠の気塊が移流してきて、昼間は上層の鉛直輸送が下層大気よりも活発になる。これが水蒸気の発散を引き起こすが、夕方になると砂漠での顕熱輸送量の急減により、上空での鉛直輸送が押えられる。すると、水蒸気輸送量の収束が起こり、水蒸気圧のピークに結びつくのではないか、と考えられる。

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