気象集誌. 第2輯
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1991年のピナトゥボ火山噴火後の大気温度の変動
川真田 正宏山田 真吾工藤 達也高野 清治楠 昌司
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1992 年 70 巻 6 号 p. 1161-1166

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抄録

火山噴火により成層圏にエーロゾルが注入されると、それらが太陽放射を吸収、散乱することにより成層圏の温度を上げ、対流圏の温度を下げるといわれている。そこで、1991年6月のピナトゥボ火山噴火後の大気温度の変動を気象庁数値予報課作成の客観解析データを用い調べた。
その結果、エーロゾルが存在するとみられる下部成層圏の全球平均気温偏差は噴火後急激な上昇をはじめ、1991年10月には、+20°Cに達し最大となった。以後、徐々に減少し1992年8月現在も正偏差が続いている。この上昇は通常の年々変動より明らかに大きくエーロゾルの影響とみられる。一.方、対流圏の全球平均気温は噴火後下降したが、大きさは今の所年々変動の範囲内である。

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