気象集誌. 第2輯
Online ISSN : 2186-9057
Print ISSN : 0026-1165
ISSN-L : 0026-1165
数値モデルで求めたマルチセルストームの風データを用いた熱力学量と雲物理量のリトリーバル
吉崎 正憲瀬古 弘
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 72 巻 1 号 p. 31-42

詳細
抄録
時間変動したりスカラー量の物理過程が複雑であったりする降水系に応用できるリトリーバル法を開発した。そのために、温度と水蒸気の周りの場はゾンデ観測で、風の場の時系列は複数台のドップラーレーダー観測で既知であるような仮想的な状況を仮定した。この方法では、これらのデータを用いて、スカラー量の式を時間積分した。
まず、準周期的に変動するマルチセルストームの数値実験の出力を利用して、このリトリーバル法のパフォーマンスを調べた。時間変動する降水系を正しく再現するには、変動を表現できるような時間間隔でサンプルした風データの時系列が必要であるのがわかった。さらに、非周期的に変動する降水系と(雲物理過程に氷を含む)複雑な物理過程を持つ降水系にこのリトリーバル法を応用して、それぞれ満足できる結果を得た。
著者関連情報
© 社団法人 日本気象学会
前の記事 次の記事
feedback
Top