気象集誌. 第2輯
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液滴極成層圏雲粒子の粒径と数濃度
ノルウェー領ニーオーレスンにおける1994/95冬季の気球観測
林 政彦岩坂 泰信渡辺 征春柴田 隆藤原 玄夫足立 宏酒井 哲長谷 正博H. GernandtR. Neuber土屋 正義
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1998 年 76 巻 4 号 p. 549-560

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抄録

気球搭載型のパーティクルカウンターを用いて、1994年から1995年にかけての冬の期間、ノルウェーのニーオールスン(北緯79度、東経12度)において、極成層圏雲のサイズ(半径0.15-1.8μm)と数濃度を観測した。観測結果は、寒冷な冬の期間PSCsが活発に生成されていることを示していた。気球観測期間中、放球場所の近くでライダーによってPSCsの相(液相か固相か)を観測した。双方の観測からPSCsがいくつかの層(サブレイヤー)から成っていることが示された。
1994年12月18日(PSCs形成の初期)に観測された数-サイズ分布は、活発なPSCs活動を経た後の1995年1月17日のものとは異なっており、PSCsの活動が極成層圏雲の化学組成、特にPSCsに関係のある組成、の分布を乱している可能性を示している。ライダー観測からは、固相のPSCsに加えて液相のPSCsが発生していることが考えられる。固相のPSCsの数-サイズ分布は、1.8μm以上の粒径に粒子濃度の増大がみられた。一方で、液相のPSCsの数-サイズ分布は、1.8μm以上の粒径に加え、より小さいサイズ(0.25-0.6μm)にも増大が見られた。

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© 社団法人 日本気象学会
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