気象集誌. 第2輯
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帯状非対称性のある簡略化した順圧モデルにおける長期変動と最適励起について
山根 省三余田 成男
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1998 年 76 巻 4 号 p. 561-580

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抄録

強制と散逸、地形の項を含む簡略化した球面順圧モデルを使った数値実験により、中・高緯度の長期変動の基本的な力学について研究を行った。このモデルの解は、現実的なパラメータ領域において長周期の不規則な変動を示す。その解の時間平均場は、上部対流圏の時間平均場がそうであるように、地形の影響を受けてジェットが帯状に変化する構造となっている。ジェット極大域の上流・赤道寄りは、擾乱(時間平均場からのずれ成分)の急激な成長に好都合な場所である。固有モードや最適モード、孤立した初期摂動の線型応答などの時間平均場の線型的な特性を詳しく調べて、非線型な非周期解の変動との比較を行った。その結果、非周期解に見られる擾乱の急激な成長は、不安定な固有モードというよりはむしろ最適モードの線型発展で良く説明されることが分かった。また、波活動度を用いた診断により、ロスビー波の伝播がジェットの出口付近での擾乱の成長にとって重要であることが分かった。

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