気象集誌. 第2輯
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成層圏・上部対流圏の残差平均子午面循環
気候学的描像
薛 東一山崎 孝治
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1999 年 77 巻 5 号 p. 985-996

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抄録

成層圏・上部対流圏の残差平均子午面循環の気候値を10年間(1985年12月-1995年11月)について調べた。残差循環は変形オイラー平均(TEM)方程式系の東西運動方程式と連続方程式から求めた。この方法はレーリー摩擦と平均東西風の時間変化を考慮している。
100hPa面を横切る熱帯域の上向き質量フラックスは11月最大、6月最小の季節変化を示す。年平均上向き質量フラックスは101.8×108kg/sであり、100hPa面を通した大気の交換時間は1.6年である。以前の研究と本研究における質量フラックスの大きさと季節変化の差の原因について論じ、本研究の方がもっともらしいことを示す。成層圏の質量収支から、春と夏の循環は北半球の同じ季節に比べて南半球の方で強く、秋と冬の循環の場合は逆であることが分った。年平均の循環は南半球より北半球の方で強い。質量の極向き輸送は冬半球の中部成層圏で弱い。さらに、100hPa面での質量交換,は主に下部成層圏の波の強制力によって支配されることが示された。

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