1998 年 4 巻 1 号 p. 39-48
自然治癒症例の心的転回体験が内観のそれと大変類似しており, 罪意識や空間体験の在り様から幾つかの局面と特徴が抽出できた。罪意識から心的転回体験を見ると, ①依存防衛としての罪意識 (罪業感) ②受苦としての罪意識―問題の直面化と自分への引き受け③懺悔心としての罪意識―自己受容と感謝。の順に局面が変化していく。
空間体験の在り様からすると, 心的転回は①冷たく, 不安に満ちた空間 (分離の不安) と病的依存の距離・空間のなさ (膚接性と過敏性) ②信頼感 (『構わない』) に満ちた空間と規範・距離の受け入れによって, 患者の関心は己自身の方へと向かう。③主体と周囲の空間/自然が調和し, 生気とエネルギーが生まれる。の順に局面が変化していく。自然治癒の体験過程の検討から, 内観療法の治療論を考える際, 父性的要素や「一人でいられる能力」に着目することが大切で, そこから内観の技法やセッティングの意味が明らかになってくると思われる。