1998 年 4 巻 1 号 p. 49-57
鳥取大学神経精神科では心理・社会的要因を持ち, うつ状態が遷延している症例を対象に集中内観を行っている。今回は平成7年4月1日から平成9年1月31日まで当科に入院して集中内観を受けた10症例を対象に治療前後でBeck, Hamiltonの評価, 東大式エゴグラム (TEG), 矢田部-ギルフォード性格検査 (Y-G性格検査), PFスタディを行い比較検討した。
集中内観後の変化として, Beck, Hamiltonの評価尺度の有意な減少, TEGでのFCの有意な増加とCP, ACの有意な減少, Y-G性格検査でのD, N, Coの有意な低下, PFスタディでの他責反応の有意な減少と無責反応の有意な増加がみられた。
以上の結果は集中内観が依存性や攻撃といったうつ状態を遷延化させる心理的要因を取り除くということを示唆している。