1998 年 4 巻 1 号 p. 93-101
19歳時より過食, 下剤の乱用が始まった摂食障害の23歳 (今回入院時) の女性に集中内観療法を適用した。本例は境界性人格障害を伴い, 自己評価や他者に対する感情などに両価性, 不安定性が目立ち, 行動上も家出や下剤を乱用するなどの衝動性がみられた。内科への3回の入院と当院 (単科精神病院) での入院でも治療効果が得られず難治例と考えられた。今回当院に2回目の入院となり, 入院後体重は速やかに回復していったものの, 隠れ食いや病棟内での規則違反など行動上の問題と感情の不安定さや両価性は改善されなかった。それらの改善には内観療法が有用ではないかと集中内観を紹介し, 積極的な同意を得て施行することになった。集中内観は5日間で中断となったが, 両親に対する被愛感を感情を伴って体験したこと, 自分自身が十分な達成感を持てたことにより, 終了直後から, 過食, 下剤の乱用が消退し, 家族との生活を行えるようになった。