1998 年 4 巻 1 号 p. 87-92
離人症は「自分がなくなった」, 「生きた感じがしない」, 「感情がない」, 「景色を見ても実感がない」等, 自己, 外界に関する現実感がなくなる症状で, 他の精神障害の随伴症状としてあらわれる場合もあるが, 離人症状を中核として終始するものを離人神経症として認める場合もある。今回離人症状を中核症状として8年間経過し, 人格崩壊の徴候を認めなかった症例に対し, 森田的生活療法の中で日常内観とその記録をもとにした内観的な精神療法を行った後, 母と共に集中内観に2回参加し, 自己の生活態度の問題, 母に対する誤解に気づき, 離人症状は改善し, 退院して家事に従事する様になった。更に退院10ヵ月後, 3回目の集中内観により, 罪責感を伴う被愛体験による心的転換がみられた。