抄録
病院、高齢者施設および介護老人保健施設で嚥下機能の診断・評価に用いられる方法と担当職種、また嚥
下調整食選択時に加味する嚥下機能診断・評価の項目と、その中で最優先される項目、さらに嚥下調整食の
決定に関わる職種を明らかにすることを目的に2回に渡って調査を行った。調査は、新潟県および山形県の病
院と高齢者施設676施設を対象に2014年に2回実施した。
その結果、嚥下障害者の嚥下障害度の診断・評価は、施設の設備や人員に合わせて検査や評価方法が選択さ
れていたが、病院と老健では、スクリーニングの改訂水飲みテスト、高齢者施設ではアセスメント票でのス
クリーニングが最も多かった。また、嚥下障害度の診断・評価を担当する職種では、検査は医師が、スクリー
ニング、神経学的所見、評価方法では、言語聴覚士、看護師、医師が多かった。
嚥下調整食の選択には、嚥下障害度の診断・評価の方法よりも嚥下障害者の「むせ・咳」の身体状況が最優先
され、嚥下障害者の状態に応じてその都度、看護師、管理栄養士・栄養士が中心になって医師、言語聴覚士、
介護福祉士らと協働して食形態を決定していることが明らかになった。
キーワード:病院、高齢者施設、嚥下障害、嚥下機能評価、嚥下調整食