自然災害科学
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Print ISSN : 0286-6021
速報
2017年東北山林火災における岩手県釜石市・宮城県栗原市の被害概要
峠 嘉哉Grace Puyang EMANG風間 聡高橋 幸男佐々木 健介
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キーワード: 山林火災, 風害, 乾燥害, 延焼, 飛火
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2018 年 36 巻 4 号 p. 361-370

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抄録

2017年5月8日,東北地方では冬季の少雨による乾燥と強風の影響で、宮城県・岩手県・福 島県の3県で立手続きに林野火災が発生した。岩手県の釜石の火災事例は焼損域が極めて広く,その面積は2016年の日本全域における焼損面積を上回った。その原因は,強風によって延焼が激しく,加えて林野部では火災であったため消防車両が侵入できない等の理由で消火活動が難 航したためである。一方で,宮城県栗原市の事例の特徴は飛火延焼である。周辺の水田によって地表の延焼は防がれたものの,強風のために最大500mも飛火延焼した。 本論では,上記の火災延焼と消火活動について現地調査や聞取り調査の結果を示す。これは将来的に,地表の水分条件や気象条件による延焼過程を比較することで,風害・乾燥害という 自然災害としての林野火災についての理解を深めることや有効な消防活動等に貢献すること等を想定している。

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© 2018 日本自然災害学会
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