自然災害科学
Online ISSN : 2434-1037
Print ISSN : 0286-6021
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巻頭言
特集
速報
報告
  • 中村 智行
    2025 年44 巻3 号 p. 301-313
    発行日: 2025/11/30
    公開日: 2025/12/24
    ジャーナル フリー
    青森県鯵ヶ沢町では,2022年8月の豪雨により,洪水災害の可能性が非常に高くなった。この事例では,人的被害は発生しなかったが,致命的な災害が十分に考えられたことから,浸水想定区域に位置する舞戸地区を対象としたアンケート調査等を実施し,避難行動の特徴を明らかにするとともに,洪水災害に対する潜在的な人的被害の可能性を検討した。その結果,流域雨量指数が予測のとおり推移していれば計画規模を超えるような洪水災害となった可能性があり,約3割の住民に人的被害が生じる恐れがあった。舞戸地区の住民のとった行動を4つのタ イプに分類したところ,将来,計画規模を大きく超えるような洪水が発生した場合,約2割の住民が自宅で被災する可能性が高く,洪水災害に対する潜在的な人的被害の可能性が「非常に高い」ことが明らかになった。今後は,住民の経験の逆機能を取り除き,迅速な立退き避難を促す防災教育が急務であると考えられる。
論文
  • 松田 曜子
    2025 年44 巻3 号 p. 315-325
    発行日: 2025/11/30
    公開日: 2025/12/24
    ジャーナル フリー
    本論文では,災害時の避難を「ケア」として捉えることにより,避難に関係する施策や考え方,実践に対して一定の新たな知見が得られることを述べる。避難は,「他者との関係や,相互依存,応答のなかでなされる」というケア的な性質を多分に含む行為であるにもかかわらず,現在の避難施策はそのことが軽視されたままつくられている。本稿では,前半で近年のケアの倫理に関する議論を引用し,現代が「ケアのない」社会であることを示す。さらに,現行の水害避難政策を参照しながら,ケアの軽視の施策への現れ方を指摘する。後半では,ケアの倫理研究の知見を援用し,水害避難施策への提言を行う。
  • 李 旉昕
    2025 年44 巻3 号 p. 327-338
    発行日: 2025/11/30
    公開日: 2025/12/24
    ジャーナル フリー
    本研究は,2024年台湾花蓮地震における避難所運営を事例に,台湾の災害支援における行政とボランティア団体の連携を考察した。花蓮地震では,複数のボランティア団体が迅速に避難所を運営し,行政との対話を通じた調整が行われた。台湾では,国際的孤立や旺盛な寄付文化などを背景に,ボランティア団体が主体的に支援活動を展開し,行政と協働しながら秩序化と遊動化のバランスを取る体制が形成されている。特に,立場・目的・関係性の遊動化が進み,組織間の相互作用による柔軟な連携を可能にしている。また,本研究は,台湾の防災体制における遊動的要素が災害対応を支えていることを示し,日本の災害支援対策に向けた示唆を提供する。
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