自然災害科学
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論文
単一のXバンドMPレーダーとCバンドレーダーを活用した山地域における土砂災害危険度推定
渡邊 彩花相馬 一義大石 哲佐野 哲也柿澤 一弘馬籠 純石平 博市川 温末次 忠司砂田 憲吾
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2019 年 37 巻 3 号 p. 295-311

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抄録
本研究では,土砂災害が多発する一方で単一の X バンド MP レーダー(UY レーダー)でしか 観測できない山地域が広い山梨県を対象に,X バンド MP レーダーと C バンドレーダーを併用 した空間解像度の細かい土砂災害危険度推定手法を構築する。UYレーダーによる降水量推定値とAMeDASの雨量計による観測値を比較したところ,レーダーサイトから20~30kmよりも遠方では推定値において過小評価傾向が見られたが,相関係数については高く,降水の相対的な強弱についてはよく一致していた。それに基づき,UY レーダーによる降水量推定値について2.5 km 移動平均値と移動平均に対する降雨量比を求め,2.5 km移動平均値についてCバンドレーダー(気象庁全国合成レーダーGPV)と合成する手法を提案した。合成前後の降水量について雨量計による観測値と比較したところ,過小評価傾向が合成後に大きく改善した。さらに,2011年9月21日台風第15号を対象に合成後の降水量を用いて60分間積算降雨量と土壌雨量指数(3段タンクモデルの水位の合計)を算出し,土砂災害発生基準線と併用して土砂災害危険度推定を行った。その結果,対象とした8つの土砂災害すべてにおいてスネークラインのピーク時にはCLを超過し危険と判定された。
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© 2019 日本自然災害学会
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