自然災害科学
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速報
2019年 3 月21日に長崎市で発生した潮位副振動(あびき)による浸水被害について
田中 健路
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2020 年 38 巻 4 号 p. 433-447

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抄録

2019年 3 月20日から21日にかけて,温帯低気圧の通過に伴い,九州地方や山陰地方の沿岸部であびきと呼ばれる顕著な潮位副振動が観測された。これに伴い,長崎市内で浸水被害が発生したことから,浸水過程の解明を目的として現地調査を行った。痕跡高測定から長崎市中心部の繁華街では T.P.+2.3~2.6m,浦上川下流で T.P.+2.9mまでの水位上昇が生じたと推定される。 長崎市内での浸水は 2 段階に分かれ,初期段階として排水溝を経由した海水の逆流による浸水 が生じ,支流に遡上した海水の越水により氾濫が拡大したものと考えられる。

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© 2020 日本自然災害学会
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