2021 年 39 巻 4 号 p. 377-390
2019年10月に日本を襲った台風19号は,東日本を中心に各地で大雨による被害をもたらした。 世田谷区と大田区の区境をまたぐ,多摩川,丸子川,谷沢川に囲まれた地域では,浸水災害が 発生した。本稿では,地域の概況や災害発生時の多摩川流域における雨量や水位の状況につい て整理したうえで,浸水深分布の調査により得られた地域の浸水状況について報告した。調査 により,地域の広い範囲で浸水が生じており,局所的に周囲より標高が低い場所で特に浸水深 が大きく,浸水深は最大で2 m を超えていたことがわかった。浸水高の分布からは,地域内を 西から東に向かって水が流れる状態になっていたことがわかった。