抄録
本研究は,大正噴火級の噴火を想定し1 年間を通した風速場を考慮した降灰シミュレーションを行い,桜島の降灰ハザードマップを提示したものである。風速場を平均化して考えると偏西風によって桜島の東側に堆積する結果となるが,本研究では降灰計算に使用する風向・風速を事前に統計処理せず, 1 日単位で1 年間の降灰堆積深の分布を求めた結果,年間の卓越的な風向場でない8 月に集中して鹿児島市中央駅付近に上位の降灰堆積深が発生することがわかっ
た。年間の最大堆積深に基づくハザードマップは,既存のものと異なる特徴を持ち,避難対策を考えるうえで有用な結果を得た。また,堆積深が一定値を超える頻度や上位1 %の堆積深に基づくハザードマップを提示し,利用者や利用目的に応じて最適な結果の整理方法について考察した。