2023 年 42 巻 3 号 p. 187-196
本研究の目的は,富士山噴火に対する富士山麓住民のリスク認知と火山現象に対する理解の特徴を明示することである。そのために,富士山麓地域の住民へアンケート調査を行った。その結果,以下の3点の知見が得られた。1 .富士山麓の住民が考える次の富士山噴火の災害の規模感は,広範囲に降灰被害をもたらした宝永噴火と同程度のものであったこと。2 .住民の4 ~ 6割が,自宅の火山災害リスクを正しく認知できていないこと。3 .住民にとって富士山噴火で起こりうる多様な火山現象を的確に理解できていないこと。