自然災害科学
Online ISSN : 2434-1037
Print ISSN : 0286-6021
報告
災害アーカイブ展トークイベントを契機とした被災者の振り返りに関する考察
坂井 華海矢ヶ井 那津田中 尚人竹内 裕希子
著者情報
ジャーナル フリー

2025 年 43 巻 4 号 p. 775-787

詳細
抄録
熊本地震発災から6年が経過した熊本県では記憶の風化が懸念されている。他方,熊本地震の経験や記憶を継承する取り組みは,各自治体や大学等研究機関で企画・実施されている。この間,被災地域において被災者が震災のことを語る機会と語りの内容に変化はあったのか。本研究は,記憶の継承の手法の一つである語りに着目し,発災から7年が経過し記憶の風化が懸念されている熊本地震の被災地域において,大学が所有する災害に関する資料や研究成果のパネル展示とトークイベントを併せた災害アーカイブ展が被災者に対して語る機会や語りの内容に与えた影響を考察した。その結果,災害アーカイブ展が災害全体を見渡す視座を提供し,災害経験について新たに語る内容を掘り起こす機会を提供していることが明らかになった。
著者関連情報
© 2025 日本自然災害学会
前の記事 次の記事
feedback
Top