2007 年 1 巻 1 号 p. 21-25
我々は静脈洞閉塞によるisolated sinusを伴うTransverse-sigmoid dural arteriovenous fistula(以下,TS-DAVFと略)に,大脳皮質下深部白質に石灰化病変を併発した稀な症例を経験した.症例は78才の男性.全身性強直性間代性けいれん発作で当院へ搬入.画像所見で左後頭葉,側頭葉の皮質下深部白質に石灰化病変および側頭葉,後頭葉,小脳表面に異常血管像を認めた.脳血管撮影の結果isolated sinusからcortical veinへ逆流し静脈瘤を伴うTS-DAVFと診断した.経動脈的塞栓術によりflow reductionを行った後,二期的に閉塞した患側S状静脈洞を介してisolated sinusへアプローチしsinus packingを行った.臨床症状は改善し独歩退院した.TS-DAVFに石灰化を伴う例はこれまでに渉猟し得た限りでは5例と稀であり,臨床像,画像上の特徴につき考察した.