Journal of Neuroendovascular Therapy
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1 巻, 1 号
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原著
  • 堀 雄三, 清末 一路, 近藤 やよい, 相良 佳子, 柏木 淳之, 岡原 美香, 田上 秀一, 森 宣, 浅野 智重, 永冨 裕文
    2007 年 1 巻 1 号 p. 5-9
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/07/18
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】脳血管内治療は一般的に5Fr以上のシースとガイディングカテーテルの組み合わせで行われており,術後の穿刺部の出血性合併症がしばしば問題となる.今回,脳血管内治療における4.3Frの細径ガイディングシースシステムの安全性と有用性について検討する.【方法】2004年1月から2007年6月までの期間に本システムを使用して脳血管内治療を試みた74例[男性33例,女性41例,平均年齢68.4歳(33~88歳)]を対象に,手技の成功率,システム抜去後の用手圧迫時間,安静時間および合併症の項目に関し検討を行った.疾患の内訳は脳動脈瘤48例,脳動脈急性閉塞症16例,症候性脳血管攣縮8例,その他2例であった.【結果】手技の成功率は98.6%であった.用手的圧迫時間は平均14.1分(7~35分),安静時間は平均11時間(3~14時間)であった.3例(4.1%)で穿刺部の軽度の皮下血腫を認めたが,その他には合併症を認めなかった.【結語】4.3Frガイディングシースシステムは,従来の5~6Frガイディングカテーテル/シースシステムと操作性において遜色なく,かつ穿刺部合併症の発生を低減することが可能である.
症例報告
  • 坂井 千秋, 坂井 信幸, 足立 秀光, 今村 博敏, 山上 宏, 小林 潤也, 菊池 晴彦
    2007 年 1 巻 1 号 p. 10-14
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/07/18
    ジャーナル オープンアクセス
    繰り返す鎖骨下動脈閉塞症に対し,Directional Coronary Atherectomy(DCA)debulking systemを用いた治療を行い良好な結果を得たので報告する.症例:63歳女性.労作時に上肢の脱力を自覚,右鎖骨下動脈の高度狭窄に対してステントを留置した.4カ月後に症状の再燃と閉塞を来たしCutting balloonを用いたPTAを行ったが,その7カ月後に再々閉塞を来たしたため,DCAで再開通術を行い良好な結果を得た.採取した標本の病理診断は,動脈硬化性変化よりも非特異的炎症性変化が目立っていた.本法は組織診断を得られるという利点もあり,難治性閉塞性疾患の治療手段として有用である.
  • 鈴木 祥生, 倉田 彰, 岩本 和久, 溝上 康治, 仁木 淳, 宮崎 朋子, 山田 勝, 岡 秀宏, 藤井 清孝, 菅 信一
    2007 年 1 巻 1 号 p. 15-20
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/07/18
    ジャーナル オープンアクセス
    喉頭癌に対する放射線治療後の両側頸動脈狭窄症に対してステント留置術とバイパス術を併用し治療した症例を経験した.症例は71歳男性.1990年に喉頭癌のため喉頭全摘術と局所放射線治療を施行.13年後両側頸動脈狭窄症の診断となった.無症状のため当初経過観察されていたが,2004年より一過性脳虚血発作が出現.翌年には右内頸動脈が閉塞し症状増悪したため,外科的治療を考慮.まずステントを右総頸動脈から外頸動脈に留置し外頸動脈の血流を確保.翌月,右浅側頭動脈―中大脳動脈バイパス術を施行し右半球の血流を改善させた.その後同様に左内頸動脈にステント留置した.両側とも良好な血流を認め,術後症状は消失した.術後18ヶ月の観察で経過良好である.
  • 岩朝 光利, 竹本 光一郎, 中原 一郎, 上村 徳郎, 阪元 政三郎, 宇都宮 英綱, 福島 武雄
    2007 年 1 巻 1 号 p. 21-25
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/07/18
    ジャーナル オープンアクセス
    我々は静脈洞閉塞によるisolated sinusを伴うTransverse-sigmoid dural arteriovenous fistula(以下,TS-DAVFと略)に,大脳皮質下深部白質に石灰化病変を併発した稀な症例を経験した.症例は78才の男性.全身性強直性間代性けいれん発作で当院へ搬入.画像所見で左後頭葉,側頭葉の皮質下深部白質に石灰化病変および側頭葉,後頭葉,小脳表面に異常血管像を認めた.脳血管撮影の結果isolated sinusからcortical veinへ逆流し静脈瘤を伴うTS-DAVFと診断した.経動脈的塞栓術によりflow reductionを行った後,二期的に閉塞した患側S状静脈洞を介してisolated sinusへアプローチしsinus packingを行った.臨床症状は改善し独歩退院した.TS-DAVFに石灰化を伴う例はこれまでに渉猟し得た限りでは5例と稀であり,臨床像,画像上の特徴につき考察した.
  • 大島 共貴, 宮地 茂, 泉 孝嗣, 鶴見 有史, 錦古里 武志, 細島 理, 松原 功明, 吉田 純
    2007 年 1 巻 1 号 p. 26-30
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/07/18
    ジャーナル オープンアクセス
    56歳男性.1ヶ月前からの全身の浮遊感にて発症した.頭部CT・MRIにて,左小脳半球の局所的な浮腫とmass effectを認めた.診断目的の脳血管撮影では,左後頭動脈と左後硬膜動脈より入る,Djindjian Type III,Cognard Type IIIの硬膜動静脈瘻(DAVF)を認めた.流出静脈は正中の小脳鎌付近の左下小脳半球静脈で,静脈洞交会との交通はなく,左側小脳半球に強い静脈うっ滞を認めた.N-butyl cyanoacrylate (NBCA) を用いて経動脈的塞栓術を行い,完全閉塞を得た.静脈うっ血を伴う静脈洞を介さない,single cortical drainage DAVFについて,文献的考察を加えて報告する.
  • 近藤 やよい, 清末 一路, 堀 雄三, 柏木 淳之, 相良 佳子, 田上 秀一, 岡原 美香, 永冨 博文, 森 宣
    2007 年 1 巻 1 号 p. 31-35
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/07/18
    ジャーナル オープンアクセス
    舌下神経管部硬膜動静脈瘻で比較的稀な骨内病変を伴った一例を報告する.症例は58歳男性で拍動性耳鳴にて発症した.頭部MRIでは左舌下神経管内及び周囲に拡張した血管と思われる無信号域を認め,CTでは舌下神経管の拡張と周囲の溶骨性変化を伴う血管拡張を認めた.また3D-DSAにてanterior condylar vein内側のvenous pouchに還流する多数の骨内動静脈短絡を伴う硬膜動静脈瘻を認めた.還流路としては同側内頸静脈及びsuboccipital cavernous sinusへの順行性流出の他に横-S状静脈洞や下錐体静脈洞から海綿静脈洞への逆流を認めた.選択的経静脈コイル塞栓術にて,動静脈瘻の完全閉塞と症状の消失が得られた.
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テクニカルノート
  • 松本 博之, 増尾 修, 武本 英樹, 河邊 理恵, 廣鰭 洋子, 板倉 徹
    2007 年 1 巻 1 号 p. 40-44
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/07/18
    ジャーナル オープンアクセス
    現在,我々の施設において行っている経上腕アプローチによる頸動脈ステント留置術の手技を紹介し,現時点でのコツとピットフォールおよび問題点について述べる.手技を成功させるポイントは4Fr シモンズタイプのカテーテルを用いてロングハーフスティフワイヤーを外頸動脈末梢部にまで誘導し,しっかりと安定させることと,シャトルシースをコアキシアルシステムを用いていかに総頸動脈に安定留置するかである.右側病変ではほぼ確実にシャトルシースの誘導が可能であるが,左側病変については誘導困難なこともあり,今後経上腕アプローチ専用のカテーテルの開発も必要と思われる.経上腕アプローチによる頸動脈ステント留置術は手技的にはそれほど繁雑さはなく,安全かつ有用な方法であると思われる.
  • -MicrusphereとMicroplex-
    杉生 憲志, 徳永 浩司, 西田 あゆみ, 早瀬 仁志, 小野 成紀, 小野田 惠介, 伊達 勲
    2007 年 1 巻 1 号 p. 45-53
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/07/18
    ジャーナル オープンアクセス
    最近,本法で使用可能となった新しい脳動脈瘤塞栓用コイル(Micrusphere®とMicroplex®)の臨床使用経験を報告した.両コイルとも,これまで日本で使用してきた他の3Dコイルとは異なったユニークな特徴があった.Micrusphere®は,Box型の安定したフレーム形成が可能であったが,コイルのシェイプメモリーが強く,やや硬い印象があり,特にバルーンアシスト時にコイルが動くことがあり,注意が必要であった.電気離脱は早く,その信頼性も高かった.Microplex®は,瘤壁に沿ってフレーム可能で,複雑な形状にもフィットしやすい特徴があり,また長いコイルのラインナップが準備されており有用であった.水圧離脱は瞬時で信頼性も高かったが,その瞬間に瘤内でコイルがわずかに動くことが確認された.両コイルとも現状では伸張防止及びソフトコイルがないためパッキングコイルとしては注意が必要であった.
    結論として,Micrusphere®は中等度大の球形・ややbroad-neck瘤に,Microplex®は多房性や細長い不規則な形状の瘤のフレーム形成に適していると考えられた.
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