抄録
【目的】急性期破裂前交通動脈瘤に対する血管内手術(コイル瘤内塞栓術)の妥当性を評価する.【方法】2002年8月より2007年6月までの期間に,当院および複数の関連施設で,発症後72時間以内に血管内手術を行った急性期破裂前交通動脈瘤82例(女性 59.8%,平均年齢59.1±12.3歳)を対象として,臨床転帰,塞栓結果,手技に関連する合併症を中心に検討した.【結果】Glasgow Outcome Scaleによる臨床転帰は,良好群(good recoveryとmoderate disability):88.3%,不良群(severe disabilityとdeath):11.7%であった.治療直後の塞栓結果は,完全閉塞74.4%,柄部残存7.3%,体部造影12.2%,企図6.1%であった.手技に関連する合併症は,術中破裂3例(3.7%;1例:死亡,2例:無症候)を生じた.臨床的経過観察期間中(平均16.8ヵ月)に再出血は認めなかった.【結論】急性期破裂前交通動脈瘤に対する血管内手術は,良好な臨床転帰および十分な再破裂予防効果が期待できるため,症例を選択すればクリッピング術に代わりえる治療法になる.