抄録
【目的】Angioguard XPによるprotection下の頸動脈ステント留置術(CAS)における塞栓性合併症とその危険因子を検討する.【対象と方法】2007年11月より2008年5月の間にCASが行われ術前MR plaque image(PI)評価可能な49例を対象とし,T1・T2強調像でのプラークと筋の信号比(P/M),顎下腺との信号比(P/S)を計測し,これらの比,狭窄長と合併症の関連を検討した.【結果】内頸動脈血流の遅延(slow flow)を10例(20.4%),うち塞栓症を3例(6.1%)に生じた.塞栓症例では他と比較してT1 P/M, P/S値が高く,狭窄長も長い傾向が見られたが有意差は認めなかった.slow flow例ではT2 P/M, P/S平均値が低く,狭窄長は長い傾向が見られた.T1 P/M 1.5以上かつ狭窄長25mm以上の病変は有意に高率に塞栓症合併を認めた(p=0.003).【結語】術前PIと狭窄長は塞栓性合併症と関連を有し,T1 P/M 1.5以上,狭窄長25mm以上の病変では塞栓性合併症の危険性が高く,治療法や手技の選択に注意を要する.