抄録
【目的】頭部MRIのT2画像で脳幹,頸髄,小脳に高信号を認めた1例を報告する.【症例呈示】74歳女性,めまいで入院.MRIで上記所見を認め,血管撮影は流入動脈が上行咽頭,後頭,テント動脈で,isolated sinusを介し,小脳皮質,脳幹周囲,前,後脊髄静脈を流出路とするS状静脈洞硬膜動静脈瘻であった.【治療】対側から閉塞左横静脈洞経由で罹患静脈洞に到達,コイルにてisolated sinusを閉塞,短絡は消失した.【結論】本例は脳幹,小脳の正常還流路閉塞に動静脈瘻流出路へ動脈圧負荷が加わり,脳幹,頸髄の静脈性高血圧を来した.このようなMRI所見では、特殊な流出路をもつ硬膜動静脈瘻も考慮すべきである.