2011 年 5 巻 1 号 p. 68-73
【目的】海綿静脈洞部硬膜動静脈瘻(CS dAVF)に対する経静脈的塞栓術で,マイクロカテーテル(MC)プルアップ法が有用だった1例を報告する.【症例】76歳,女性.CS dAVFによる右眼症状を認めた.通常の方法では右CSへ到達できなかった.ガイドワイヤー(GW)を左下錐体静脈洞(IPS)からposterior intercavernous sinusと右IPSを介し右内頚静脈(IJV)へ誘導,右IJVの近位から誘導したグースネックスネアで捕捉した.GWと共にグースネックスネアとMCを右IPSへ引き上げ,さらに右CS内へ誘導しコイル塞栓を施行,症状は消失した.【結論】MCプルアップ法は,CSへ到達困難な症例に有効な場合がある.