2012 年 6 巻 3 号 p. 196-201
【目的】耳鳴りで発症したanterior condylar confluence(ACC)近傍の硬膜動静脈瘻に対して内頚静脈-椎骨静脈叢の吻合を経由し治療を行った1例を報告する.【症例】59歳男性.経静脈的塞栓術に際して,第2頚椎レベルの左内頚静脈と椎骨静脈叢との吻合を利用し,suboccipital cavernous sinus(SCS)からlateral condylar veinおよびposterior condylar veinに到達してコイルにて塞栓を行なった.治療後よりシャントは消失し耳鳴りも消失した.【結論】ACC近傍の硬膜動静脈瘻に対する経静脈的塞栓術において,症例によっては内頚静脈と椎骨静脈叢の吻合部からSCSを経由するアプローチが有用と考えられた.