2012 年 6 巻 3 号 p. 189-195
【目的】複合的治療を要した難治性外傷性carotid-cavernous fistula(CCF)の1例を報告する.【症例】24歳,男性.バイク事故による急性硬膜下血腫,脳挫傷後,6年の経過で右視力障害,右外転神経麻痺が出現し外傷性CCFと診断された.前医で血管内治療により海綿静脈洞の瘤様拡張部および内頚動脈の塞栓術を受けたが,shuntの残存を認め当院を紹介受診した.Radial artery(RA)graftを用いてのhigh flow bypassおよび眼動脈近位と頚部で内頚動脈のtrappingを行ったが,逆行性direct shuntの残存を認めたため,RA graftを経由してshuntおよび内頚動脈の塞栓を行い完全閉塞を得た.【結論】RA graft経由の塞栓術は安全に施行可能であった.