2012 年 6 巻 4 号 p. 240-244
【目的】我々は頚部頚動脈狭窄症に対しMRIプラークイメージングによる検討を行ってきた.Black-blood法T1強調画像(BB-MRI)にて高信号を示しプラークボリュームの多いプラークを有する症例は頚動脈ステント留置術(carotid artery stenting;CAS)ハイリスク症例と考え,頚動脈内膜剥離術(carotid endarterectomy;CEA)を可能な限り施行することとしてきた.その方針に基づいたCASの治療成績につき後方視的に解析した.【方法】対象は,2002年9月より2010年3月の間,緊急をのぞく頚部頚動脈狭窄症に対して,術前にMRIプラークイメージングを施行しえたCAS 78症例.【結果】BB-MRIにて,プラーク全体の近傍筋組織に対する信号相対比(relative overall signal intensity;roSI)は平均1.20±0.31であった.roSI 1.5以上の著しい高信号を呈する病変は7病変(9.0%)であった.新規同側DWI陽性病変は23症例(37.1%)に認めた.術後30日以内の脳卒中,心筋梗塞および死亡は2例(2.7%)であった.【結論】術前に非侵襲的なMRIプラーク診断による精査を行うことで,CASハイリスク症例を選別し,より安全にCASを施行することができると考えられる.