抄録
【目的】未破裂脳動脈瘤に対するコイル塞栓術後に特発性食道粘膜下血腫を発症した一例を報告する.【症例】70歳,女性.左内頚動脈にwide neckで径7mmの未破裂脳動脈瘤を認めた.balloon remodeling techniqueによりコイル塞栓術を行った.術後に心窩部痛・背部痛を訴え,特発性食道粘膜下血腫を発症した.保存的加療により良好な経過をたどった.【結論】特発性食道粘膜下血腫はまれな疾患である.本症例では術前の抗血小板療法に加え,術中の抗凝固療法の強化・抜管後の繰り返す嘔吐が誘因と考えられた.脳血管内治療において出血性合併症を起こさない適切な抗血栓療法が重要であると考える.