2014 年 8 巻 1 号 p. 14-20
【目的】80 歳以上の患者において無症候性未破裂脳動脈瘤(unruptured intracranial aneurysm; UIA)が経時的に増大した場合の血管内治療の妥当性を検討する.【方法】2009 年4 月から2013 年3 月の間に瘤内塞栓術を施行した80 歳以上の増大するUIA 連続4 症例を後方視的に検討した.【結果】全例女性,平均年齢81.8(81~83)歳,UIA は中大脳動脈瘤3 例,後交通動脈瘤1 例で,平均最大径は発見時5.0(3.3~6.5)mm,治療時9.4(7.1~11.7)mm,治療までの観察期間は平均49(24~64)カ月で最大径比平均2.0(1.6~3.0)倍の増大を認めた.瘤内塞栓術の結果は完全閉塞1 例,ネック残存3 例で周術期合併症はなかった.臨床転帰は全例で退院時modified Rankin Scale(mRS)0,術後平均20.5(6~47)カ月の観察期間中にmRS の悪化はなかった.術後平均16.8(6~43)カ月のフォローアップ画像検査で塞栓状態の変化を認めなかった.【結語】80 歳以上のUIA 患者において動脈瘤が増大した場合には瘤内塞栓術が有用な可能性が示唆された.