Journal of Neuroendovascular Therapy
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8 巻, 1 号
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総説
  • 太田 剛史, 中原 一郎, 松本 省二, 石橋 良太, 五味 正憲, 宮田 悠, 西 秀久, 渡邉 定克
    2014 年 8 巻 1 号 p. 3-13
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/31
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】症候性の慢性内頚動脈閉塞症に対して血管内治療での再開通療法が試みられるようになってきており,その手術難易度や治療効果について総説する.【方法】現在までの報告で示されている適応,治療方法の詳細などを自験例の詳細を加えてレビューし,将来の展望を考察した.【結語】近年の報告では血行動態障害を伴う症例において高い予防効果が期待できそうである.今後専用器具の開発,病変性質の解明,画像診断の進歩などの要因により治療機会が大きく広がる可能性がある.【結論】近い将来,症候性の慢性内頚動脈閉塞症に対する治療として,血管内治療による再開通療法が主な選択肢のひとつとなる可能性がある.
原著
  • 鈴木 一郎, 松本 康史, 新妻 邦泰, 近藤 竜史, 遠藤 英徳, 藤原 悟, 高橋 明, 清水 宏明, 冨永 悌二
    2014 年 8 巻 1 号 p. 14-20
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/31
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】80 歳以上の患者において無症候性未破裂脳動脈瘤(unruptured intracranial aneurysm; UIA)が経時的に増大した場合の血管内治療の妥当性を検討する.【方法】2009 年4 月から2013 年3 月の間に瘤内塞栓術を施行した80 歳以上の増大するUIA 連続4 症例を後方視的に検討した.【結果】全例女性,平均年齢81.8(81~83)歳,UIA は中大脳動脈瘤3 例,後交通動脈瘤1 例で,平均最大径は発見時5.0(3.3~6.5)mm,治療時9.4(7.1~11.7)mm,治療までの観察期間は平均49(24~64)カ月で最大径比平均2.0(1.6~3.0)倍の増大を認めた.瘤内塞栓術の結果は完全閉塞1 例,ネック残存3 例で周術期合併症はなかった.臨床転帰は全例で退院時modified Rankin Scale(mRS)0,術後平均20.5(6~47)カ月の観察期間中にmRS の悪化はなかった.術後平均16.8(6~43)カ月のフォローアップ画像検査で塞栓状態の変化を認めなかった.【結語】80 歳以上のUIA 患者において動脈瘤が増大した場合には瘤内塞栓術が有用な可能性が示唆された.
  • 小山 淳一, 花岡 吉亀, 佐藤 篤
    2014 年 8 巻 1 号 p. 21-25
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/31
    [早期公開] 公開日: 2014/05/17
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】脳動脈瘤塞栓中のコイルやマイクロカテーテルの挙動は,それらの特性だけではなく,コイルのデリバリーワイヤーの特性も影響する.5 種類のコイル,Axium Helix(Axium),Deltaplush(Deltaplush),ED coil Extrasoft(ED),Galaxy Complex Xtrasoft(Galaxy),Target Ultra(Target)のデリバリーワイヤーの弾性と変形の特徴を研究した.【方法】コイルを電子秤上に固定し,離脱部から30 mm(20 mm)近位のデリバリーワイヤーを把持して,固定部と把持部の距離をそれぞれ15 mm(10 mm)になるまで屈曲させたときの反発力を測定した.また,デリバリーワイヤーを30 mm から屈曲させた時の形状を観察した.【結果】Axium,Deltaplush,ED,Galaxy,Target の反発力(×10−3N)は30 mm 群で平均3.822,4.41,2.548,3.136,4.018,20 mm 群で7.105,9.996,4.312,5.488,6.174 だった.また,屈曲時の変形はAxium,ED,Target の3 ブランドで滑らかな連続性の曲線を示し,Galaxy,Deltaplush は先端から約10 mm で非連続的な強い屈曲を示した.【結論】安全かつ有効な塞栓術を行うために,コイル選択する際にはデリバリーワイヤー先端の特性も理解しておくことが必要と考える.
症例報告
  • 小嶋 篤浩, 小野塚 聡
    2014 年 8 巻 1 号 p. 26-31
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/31
    [早期公開] 公開日: 2014/05/02
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】瘤内塞栓術後に再開通を繰り返した後交通動脈瘤に対してダブルマイクロカテーテル法を用いて治療した症例を報告する.【症例】52 歳女性.左後交通動脈の非分岐部に生じた破裂動脈瘤に対しシンプルテクニックでコイル塞栓術を施行したが,短期間で動脈瘤が増大し再開通を繰り返した.そのため,内頚動脈および椎骨動脈経由で瘤内に2 本のマイクロカテーテルを留置し,コイル塞栓術を施行した.以後,動脈瘤は安定化し良好な予後が得られた.【結論】後交通動脈の非分岐部に生じ再開通を繰り返す動脈瘤に対する治療法として,2 つのアプローチルートからのダブルマイクロカテーテル法は密な動脈瘤塞栓に有用であった.
  • 足立 秀光, 坂井 信幸, 千原 英夫, 蔵本 要二, 坂井 千秋, 今村 博敏, 上野 泰, 國枝 武治, 小柳 正臣, 重松 朋芳, 五 ...
    2014 年 8 巻 1 号 p. 32-39
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/31
    [早期公開] 公開日: 2014/05/17
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】発生頻度が稀な前下小脳動脈(anterior inferior cerebellar artery: AICA)近位部の破裂動脈瘤に対して,AICAを温存した姑息的塞栓術を行い良好な長期成績を得た1 例を報告する.【症例】61 歳,女性,Hunt and Kosnik Grade III,WFNS Grade II のくも膜下出血で,AICA 近位部に動脈瘤を認めた.動脈瘤近位に高度狭窄を伴い,単純な動脈硬化性変化の合併のほか,解離性動脈瘤の可能性も示唆された.このため,治療方針の決定には逡巡したが,急性期治療の技術的限界もありAICA を温存した姑息的塞栓術を行った.再破裂の可能性は完全には消失していないと考え,厳重な経過観察を行ったが再破裂なく良好に経過した.病変部は側副血行の発達により無症候性に閉塞し,術後4 年6 カ月経過したが良好な長期結果を得ている.【結語】AICA 動脈瘤は外科的アプローチが困難な部位の一つであるが,瘤内塞栓が困難な紡錘状動脈瘤や解離性動脈瘤の報告も多く,血管内治療でも根治困難な場合がある.本症例では,破裂急性期に破裂部位のみの姑息的治療を行い,結果的には無症候性に母血管閉塞の形となり良好な治療結果を得ることができた.
  • 髙田 芽, 柘植 雄一郎, 村尾 健一, 川上 理, 児島 正裕, 松林 景子, 山田 圭介
    2014 年 8 巻 1 号 p. 40-45
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/31
    [早期公開] 公開日: 2014/05/17
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】後下小脳動脈に限局した解離性動脈瘤は稀であり,両側性病変の報告はこれまでにない.くも膜下出血で発症し,両側後下小脳動脈に解離を認めた症例を経験したので報告する.【症例】後頚部痛と眩暈で救急受診した41 歳男性.意識清明,CT 上Fisher grade 3 のくも膜下出血を認めた.両側後下小脳動脈のanterior medullary segment からlateral medullary segment 近位に解離性動脈瘤を認めた.出血側が不明のため保存的治療を行っていたところ,Day 9の検査で右側病変の増大を認めた.Day 17 右後下小脳動脈起始部を含めた右椎骨動脈のバルン閉塞試験を行い,症状出現がないことを確かめたうえで,Day 24 に右側病変の母動脈閉塞を行ったところ,術後に小脳および脳幹梗塞を生じた.リハビリテーションにより症状は改善し,左側病変は半年後の検査で自然縮小を認めた.【結論】両側後下小脳動脈解離性動脈瘤は極めて稀である.母動脈閉塞による血管内治療では慎重な術前評価が必要である.
  • 若林 和樹, 吉澤 将士, 川島 隆弘, 大澤 匡, 藤巻 広也, 朝倉 健, 宮崎 瑞穂
    2014 年 8 巻 1 号 p. 46-51
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/31
    [早期公開] 公開日: 2014/05/17
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】くも膜下出血で発症し,複数の流入動脈を認めた頭蓋頚椎移行部硬膜動静脈瘻の1 例を報告する.【症例】45歳,男性.くも膜下出血で発症し,出血源の検索で左頭蓋頚椎移行部の硬膜動静脈瘻を認めた.左椎骨動脈の硬膜枝および左上行咽頭動脈,後頭動脈,深頚動脈が流入動脈として関与していた.2 回の流入動脈塞栓術後に開頭による導出静脈の離断術を行いシャントは消失した.【結論】複数の流入動脈を認めた頭蓋頚椎移行部の硬膜動静脈瘻において,3D-DSA のMPR 画像が診断に有用であった.流入動脈の塞栓後に開頭術を行う治療は考慮されてよいと思われた.
  • 南都 昌孝, 谷川 成佑, 高道 美智子, 小坂 恭彦, 中原 功策, 天神 博志
    2014 年 8 巻 1 号 p. 52-57
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/31
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】内頚動脈狭窄症に対し頚動脈ステント留置術(carotid artery stenting; CAS)を施行し,術翌日に虚血性視神経症(ischemic optic neuropathy; ION)を発症した一例を経験したので報告する.【症例】72 歳,男性.左上下肢の脱力発作を認め脳梗塞の診断で入院加療が行われた.精査の結果右内頚動脈高度狭窄を認めCAS を施行したところ,術翌日に右眼の視力,視野障害を認めた.眼底所見から網膜中心動脈閉塞ではなくION と診断された.【結論】CAS後にION を発症した非常に稀な一例を報告した.
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