抄録
【目的】紡錘状動脈瘤に対するコイル塞栓術は,通常親血管と動脈瘤を分離できない場合が多いため,親血管を温存した瘤内塞栓術は難しい.ステントを併用したコイル塞栓術で,親血管の内腔を短軸像で確認できる“down-the-barrel view(DBV)”が取れれば,親血管を温存した瘤内塞栓術が可能であったとの報告例がある.紡錘状動脈瘤に対してステントを併用したコイル塞栓術でDBV による追加ステント留置術で親血管を温存して瘤内塞栓術が可能であった1 例を経験したので報告する.【症例】60 歳女性.約1 年前に右椎骨動脈紡錘状動脈瘤を指摘され外来で経過観察されていたが瘤の増大が認められたため,Enterprise stent(EP)を用いたコイル塞栓術を施行した.最初にマイクロカテーテルを瘤内に挿入し,動脈瘤を十分覆うようにEP を留置した後,瘤内塞栓術を施行した.術中親血管へコイルが逸脱しているかどうかの判断が困難となったため,DBV で造影したところステント内腔にコイルの逸脱が認められた.そのためstent-in-stent で新たにEP を追加留置したところ,EP 内のコイル逸脱は消失した.術後合併症は認められなかった.3 カ月後の血管造影で動脈瘤の完全閉塞が認められ,親血管は開存していた.【結論】紡錘状動脈瘤に対するステント併用コイル塞栓術において,DBV による追加ステント留置を行うことで良好な治療効果が得られる例があることが示唆された.