2014 年 8 巻 4 号 p. 224-230
【目的】N-butyl cyanoacrylate(NBCA)を用いた髄膜腫塞栓術後に,浮腫増悪や腫瘍内出血を来した3 例を経験したので報告する.【症例】症例1:36 歳男性は傍矢状洞部髄膜腫,症例2:83 歳女性と症例3:63 歳女性は円蓋部髄膜腫であった.いずれも大きな腫瘍であり,腫瘍内動静脈シャントを伴う著明な腫瘍濃染像を認めた.NBCA を用いた開頭術前の中硬膜動脈塞栓術を施行したところ,流出路閉塞を起こし,腫瘍周囲の浮腫増悪や腫瘍内出血を来した.頭痛や,片麻痺増悪を認めたが,点滴治療により軽快し,3 例とも緊急手術は要さなかった.【結論】動静脈シャントを伴う脳腫瘍に対する液体塞栓術においては,流出路閉塞にならぬようにNBCA の注入速度や濃度に注意する必要がある.