抄録
【目的】rt-PA 静注療法無効例の内頚動脈閉塞による急性期脳梗塞に対しPenumbra system による血行再建と頚動脈ステントの併用により良好な経過を得た2 症例を経験したので報告する.【症例1】72 歳男性.左片麻痺を主訴に当院に搬送された.脳血管撮影の所見から,右内頚動脈起始部高度狭窄に由来するアテローム血栓性塞栓により内頚動脈閉塞に至った脳梗塞と診断し,まず内頚動脈の血栓をPenumbra system で回収した.遠位塞栓をきたすことなく,tandem lesion を認めなかったため,distal protection 下に頚動脈ステントを留置することにより再開通を得た.症状は著明に改善しmRS0 で退院した.【症例2】73 歳男性.左片麻痺を主訴に当院に搬送された.アテローム血栓性の頚部内頚動脈閉塞に対し同様の治療により再開通を得て,3 カ月後mRS0 となった.【結論】アテローム血栓性の急性内頚動脈閉塞に対する血行再建術において,Penumbra system による血栓吸引を先行することで遠位塞栓を予防することができ,引き続いて頚動脈ステント留置術を行うことで良好な経過が得られる可能性が示唆された.