2017 年 66 巻 4 号 p. 451-457
歩道敷設について医学と工学の学際領域の協働の重要性を最近の国内外の文献に基づいて検討した.まず,歩道敷設の前提となる歩道の利用(歩行)促進の効果を医学(公衆衛生学)的に検討した.次にユニバーサルデザインの歩道敷設について,これまでと現在について概説した.続いて,今後の歩道敷設に関する医学的課題の工学技術的解決について,専門的視点と利用者視点から解説した.最後に,将来の'歩道敷設におけるユニバーサルデザインの深化 'のために,利用者視点を超える医学(神経科学)的課題の提起と工学技術による解決について提言した.例としてCAT(Coincidence Anticipation Timing) performanceを挙げて,利用者が気付かない転倒の防止対応の必要性について医学(神経科学)的に解説し,具体的な工学技術による解決法を提案した.今後このようなユニバーサルデザインの更なる深化を超高齢社会に向けて,実現していくべきであろう.