保健医療科学
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特集
  • 丸谷 美紀
    原稿種別: 巻頭言
    2025 年74 巻4 号 p. 331
    発行日: 2025/10/31
    公開日: 2025/11/13
    ジャーナル オープンアクセス
  • 障害者雇用制度を取り巻く国際比較と日本の課題
    近藤 武夫
    原稿種別: 総説
    2025 年74 巻4 号 p. 332-337
    発行日: 2025/10/31
    公開日: 2025/11/13
    ジャーナル オープンアクセス

    本稿は,障害者雇用をめぐる国際的理念の変遷を概観し,日本の現状と課題を批判的に検討する.1983年の国際労働機関(ILO)第159号条約は,障害者の職業リハビリテーションと雇用を各国に求め,特に発展途上国において生活保障としての就労確保を重視した.その後,2006年に採択された国連障害者権利条約(CRPD,日本は2014年に批准)第27条では,障害者が「開かれた,包摂的で,アクセス可能な労働市場」で働く権利が明記され,締約国には特別枠に隔離せず,主流の労働市場へ包摂することを志向する国際的規範が形成された.さらにILOが1999年に提唱したディーセント・ワーク(DW)は,障害者に限定されない普遍主義的な枠組みを提示した上で,①仕事の創出,②社会的保護,③社会対話,④仕事における権利の保障の4つの戦略目標を掲げ,就労の量だけでなく質を重視する枠組みを国際的に定着させた.加えて,1990年代以降,欧州では就労統合型社会的企業(WISE)やソーシャルファームが,刑余者やひとり親,移民など多様な就労困難層を包摂する制度として整備され,米国でも差別禁止法体系や労働力革新機会法(WIOA)による障害を含めた就労困難者全般に対するワンストップ支援が展開されてきた.これに対し日本は,障害者雇用率制度と生活困窮者自立支援が縦割りで並立し,DWの普遍主義や,WISEやWIOAに見られる包摂性には至っていない.「障害」のみを対象とする支援施策は,多様な就労困難に隠れた障害や疾患のある人々を周縁化し,支援のアウトリーチから取り残されたままにする可能性がある.他方で,超短時間雇用モデル,東京都のソーシャルファーム認証条例,ニューロダイバーシティ雇用,高等教育機関からキャリアへの移行支援といった自治体・民間・教育機関の実践は,普遍主義に基づく包摂の萌芽と評価できる.本稿は,日本がILO第159号条約的な枠組みに留まる現状を指摘しつつ,普遍的・包摂的な政策設計の必要性を論じるとともに,障害者や病弱者などを含む就労困難層に適した「雇用の質」の再定義を提示する.

  • 村木 太郎
    原稿種別: 総説
    2025 年74 巻4 号 p. 338-339
    発行日: 2025/10/31
    公開日: 2025/11/13
    ジャーナル オープンアクセス

    障害者就労は障害者自身にとって自立,自己肯定感,社会とのつながり,成長など多くの点で大きな意義を持つ.加えて高齢化が進む中で社会を支える人を増やす意味でも,企業のCSRやDE&Iを進める意味でも重要である. 障害者就労には障害者雇用促進法の雇用義務に基づく企業雇用と障害者総合支援法の福祉サービスの一環である福祉就労の2つの制度がある.企業雇用は,雇用契約を結び労働法が適用され企業の一員として生産計画に基づいて自律して働くことが基本である.福祉就労は,福祉サービスの利用者として手厚い支援の下で一人一人の特性・状況に応じた配慮がなされるが,労働法は就労継続支援A型以外は適用されない.企業雇用と福祉就労では働き方が異なっているが,社会に有用なものを産み出し収入を得るという労働の基本においては同じである. 障害者の就労率は非障害者も含めた日本全体と比較すると低く,加齢による低下も大きい.しかし,就労者数は企業雇用,福祉就労ともこのところ急速に増加している.その背景には法定雇用率の上昇や障害福祉制度の充実がある.福祉就労から企業雇用への流入は量としては増加しているが,必ずしも強まっているとは言えない. 今後の課題としては,就労障害者に関する課題として,高齢化,精神障害者・発達障害者が働く場の整備,引きこもりや難病患者,刑務所出所者など障害者以外のの働きづらさを抱えた人たちに対する支援(WORK! DIVERSITY)が挙げられる.働く場の変化に伴う課題としては,新たな働く場の開拓,農福連携,「あしきA型」や障害者雇用ビジネスなど制度利用ビジネスへの対応が挙げられる.制度の新たな展開に向けた課題としては,企業雇用と福祉就労の連携,雇用率の性格と算定方法の見直し,福祉就労の制度の見直しが挙げられる.

  • 原田 自由, 白石 杏, 荒井 康平
    原稿種別: 解説
    2025 年74 巻4 号 p. 350-358
    発行日: 2025/10/31
    公開日: 2025/11/13
    ジャーナル オープンアクセス

    我が国の雇用障害者数は増加傾向にある.障害者の就労は,「障害者の雇用の促進等に関する法律」(以下,障害者雇用促進法)及び,「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」が両輪となり支援を実施している.本稿では,障害者雇用政策と障害福祉サービスの現状と課題について紹介する. 障害者雇用促進法は,職業的自立の促進ための総合的な措置を講じ,障害者の職業の安定を図ることを目的としている.具体的には,職業リハビリテーションの推進,障害者雇用率制度と障害者雇用納付金制度,障害者差別と合理的配慮の提供義務等の取組が実施されている. 障害者雇用は着実に進展してきた一方で,雇用の質向上や雇用施策と福祉施策の連携に関する課題があり,障害者雇用促進法の一部改正を含む「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律」(以下,改正障害者総合支援法)が公布された.障害者雇用促進法の部分の主な改正点は,雇用の質の向上のため事業主の責務の追加,雇用率の算定対象の拡大,助成金の拡充・新設,雇用施策と福祉施策の更なる連携強化である. また,今後の障害者雇用の更なる促進のため「今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会」を開催し,障害者の雇用の質の向上や障害者雇用率制度の在り方を検討している.今後の課題は,より一層の障害者雇用の量と質の確保・向上及び福祉と雇用の連携推進である. 障害福祉サービスの現状としては,福祉的就労から一般就労への移行等の支援として,従来から,就労移行支援事業における必要な訓練や求職活動に関する支援,就労継続支援A型や就労継続支援B型における生産活動等の活動の機会の提供及び必要な訓練,就労定着支援における一般就労に伴う課題解決に向けた支援等が取り組まれている.さらに,改正障害者総合支援法により,就労アセスメントの手法を活用した「就労選択支援」が創設され,2025年10 月から実施される.就労選択支援の目的は,働く力と意欲のある障害者に対して,障害者本人が自分の働き方を考えることをサポートするとともに,就労継続支援を利用しながら就労に関する知識や能力が向上した障害者には,本人の希望も重視しながら,就労移行支援の利用や一般就労等への選択の機会を適切に提供することである. 障害のある人と共に働くことが当たり前の社会の実現,そして,障害があっても地域で自立した生活を送るための基盤づくりに向けて,障害者雇用対策及び障害福祉施策の一層の充実を図っていく必要がある.

  • 公正で多様な働き方への道
    猪瀬 智美
    原稿種別: 報告
    2025 年74 巻4 号 p. 359-364
    発行日: 2025/10/31
    公開日: 2025/11/13
    ジャーナル オープンアクセス

    2019年に,さいたま市で全国に先駆けて始まった「重度障がい者の就労支援事業」について,当事者の一人として市独自の制度ができるまでの歩みと,その後を述べる.筆者は,重度障がい者として365日介助派遣を受けながら自立生活をしている.一般企業への就職を希望し,重度障がい者の在宅勤務を取り入れている会社に内定が決まった.当時は,就労中の介助派遣は認められず,お手洗いや水分補給等に困難があり体調を崩したこともあった.就職後,5年目の2017年,転籍のため勤務時間が延長する際に,就労中の介助派遣の必要性について,市の障がい支援課の担当者と話した.市の担当者は仕事中のお手洗いや水分補給等は日常動作の一部と理解を示し,その後,さいたま市から内閣府の地方分権改革有識者会議に提案書が出された.法案は先送りされたが,さいたま市本会議で筆者の事例が取り上げられ,2019年4月,全国に先駆けて「重度障がい者の就労支援制度」が開始された.その後,2020年10月,「雇用施策との連携による重度障がい者等就労支援特別事業」の利用が可能となった.しかし,現在も未実施の自治体も多く,当事者の声が広がり,全国で本制度が受けられる日が来ることを強く願う.

  • 江口 恵美
    原稿種別: 報告
    2025 年74 巻4 号 p. 365-375
    発行日: 2025/10/31
    公開日: 2025/11/13
    ジャーナル オープンアクセス

    オムロン太陽株式会社(以下,「当社」)における障害者雇用の実践を通じて,障害者と共に働くことの意義を多角的に考察する.障害者雇用は企業の社会的責任(CSR)の一環として重要であり,特に日本では法的枠組みが整備され,障害者の雇用促進が求められている.当社は設立以来,障害者が安心して働ける環境を整備し,親会社であるオムロンの理念に基づいたダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の取り組みを進めてきた. 本稿では障害者雇用の歴史的背景や関連法規,現状を踏まえ,当社の企業理念と障害者雇用について紹介し,D&I,多様な人材を受け入れることで,組織文化の醸成やイノベーションの促進に寄与し,企業の成長を図っていることを述べる. さらに,当社の「ユニバーサルものづくり」や労働安全衛生マネジメントシステムの導入など具体的な取り組みを通じて,障害の有無に関わらず全ての従業員が活躍できる環境を整えることが,持続可能な成長に寄与することを明らかにする. 最後に,障害者と共に働くことの意義を再認識し,企業が社会全体の理解と協力を得ながら,より多くの障害者が働くことができる社会の実現に向けた取り組みの重要性を訴える.

  • 公衆衛生の立場から
    椿本 香理, 松本 直之
    原稿種別: 報告
    2025 年74 巻4 号 p. 376-383
    発行日: 2025/10/31
    公開日: 2025/11/13
    ジャーナル オープンアクセス

    高次脳機能障害者への相談支援は,障害者総合支援法の地域生活支援事業で定められている.本稿では,高次脳機能障害者に対する就労支援の実際として,地域の障害者支援の実践者と,地域の高次脳機能障害支援機関へのインタビューを実施し,その内容を整理した.その結果,高次脳機能障害者に対する就労支援では「課題と対応の可視化・生活基盤の安定・職場調整を中心とした支援と,一般的手法の応用的実践」「退院後から職場復帰までの支援における連続性の課題への実践」「働くことを通して人生を再構築している過程を共にする姿勢と,本人主体の支援」という特徴のある支援が行われていた.高次脳機能障害支援機関では,「専門性を持った柔軟な生活支援(医療連携と早期介入,就労支援までの橋渡し,制度・支援のコーディネートと同行支援)」「ネットワーク構築(就労を希望する仲間同士,医療・生活・就労の関係機関)」「関係機関への後方支援(知識・情報・助言の提供)」が行われていた.これらの活動は,①入院中から復職・再就職を見据えた地域支援者の早期介入と支援分断の予防的対応,②医療・就労支援・企業との連携強化および専門的後方支援,③働くことを通して人生を再構築していくプロセスにおける生活支援者の伴走的支援,であり,公衆衛生活動としての意義を持つものである.

  • ADDIEモデルを用いて
    丸谷 美紀, 湯川 慶子, 川尻 洋美, 今橋 久美子, 武澤 友広, 湯沢 由美
    原稿種別: 報告
    2025 年74 巻4 号 p. 384-396
    発行日: 2025/10/31
    公開日: 2025/11/13
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究は,就労選択支援を見据え,変調の大きい障害者のためのアプリを併用した就労アセスメント研修の開発を,ADDIEモデルを用いて[Assessment:ニーズ把握][Design設計:目的と内容検討][Development:内容作成][Implement:実施][Evaluation:評価]の5段階で開発した過程全体を報告し,今後の研修発展に向けた示唆を検討した.研修開発に先立ち,「行動」「心身の状態」「環境」を日々入力し,1週間の三項目の入力内容を突合させてグラフ出力して支援者と振り返りを行うアプリ「わらいふ」を開発した.研修の開発方法は[Assessment:ニーズ把握]では,令和5年度に全国の障害者の就労支援経験を有する支援者に,インタビュー調査,及び質問紙調査を行った.[Design設計:目的と内容検討]では目的と内容を検討し,[Development:内容作成]で具体的内容を作成し,[Implement:実施]では全国の支援者に公募により研修を試行した.[Evaluation:評価]ではアウトプット評価として研修前後の自己評価等,プロセス評価としてニーズの特定等,ストラクチャー評価として従事者数等を検討した.結果として,[Assessment:ニーズ把握]は「プロセスを主としたアセスメント」「モニタリング方法(アプリ等を活用)」「地域情報(地域の産業・障害への考え方等)」等が得られた.[Design設計:目的と内容検討]で,研究班で設計した目的と内容について有識者と検討し「雇用に関する制度や合理的配慮」を加えた.[Development:内容作成]で,具体的内容としてオンデマンドの講義と集合形式の演習を検討し,特にアセスメント演習には,就労選択支援の要素として「就労支援のためのアセスメントシート」「情報の提供」「作業場面を活用した状況把握」「多機関連携のケース会議」「アセスメント結果の文書化」「本人との協同実施」を組み込み,かつモニタリングに「わらいふ」を活用した模擬事例を用いてアセスメントを深めるプロセスを設定した.[Implement:実施]では全国の48名の支援者に研修を試行した.[Evaluation:評価]のアウトプット評価では研修前後の自己評価等は研修後に改善し,プロセス評価ではニーズの特定等は適切であり,ストラクチャー評価として実施会場の再検討等が得られた.以上より,アプリを併用し,ADDIEモデルを用いてニーズに基づき,設計・開発・実施を展開した研修開発は妥当と考え得る.一方,ニーズ把握は就労選択支援の施行前であり,評価基準の改訂も含め,就労選択支援試行後も継続して研修方法を改訂し,評価する必要がある.

  • 地域・民族・国家によって異なる障害の捉え方と,就労生活に及ぼす影響
    園川 千賀子, 丸谷 美紀
    原稿種別: 報告
    2025 年74 巻4 号 p. 397-401
    発行日: 2025/10/31
    公開日: 2025/11/13
    ジャーナル オープンアクセス

    南大東村の障害者(児)手帳所持者数は,村の総人口の6.3%を占める76人である.島内に就労移行・就労継続支援,日常生活用具給付などの障害福祉サービスはなく,障害に特化した専門家を確保することが困難である.一方で,行政・医療・介護関係者が日頃から顔が見える連絡体制を構築しているため,支援対象者の生活や特性をよく理解したうえで関わりを持っている.災害対策も,消防団と南大東村社会福祉協議会で支援が必要となる方をリスト化し,事前の避難誘導や避難所までの送迎を行っている.就業では「南大東村農地・水・環境保全管理協定運営委員会」が行う環境整備事業があり,障害者や高齢者を含めたグループで作業を行い,障害者雇用支援の一助になっている.南大東村では,障害を持つ方も,ある種の個性を持つだけの同じメンバーとして認識されている.さまざまな仕事や役割分担において,ひとりの苦手を,それを得意とするもうひとりがカバーして成り立たせる形態がある.島の人材は等しく貴重で,それぞれができる役割を果たすことで島を成り立たせている.南大東村とアジア農村部には共通点がある.「障害に特化したサービス機関」「障害に特化した専門職」の確保が難しい状況にあるが,行政や関係機関やコミュニティが自然に代替している.また,人々のノーマライゼーションに対する意識が高く,障害のある方もメンバーとして自然に受け入れている.障害者支援を考える上で,都市部から隔離された小規模コミュニティが保持する力の,社会的・環境的な要因や詳細を,解明,特定,再評価することは,大いに活用できる.

論文
  • 全国規模のインターネット調査による断面研究
    大竹 理恵, 田淵 貴大, 桑原 恵介
    原稿種別: Original
    2025 年74 巻4 号 p. 402-411
    発行日: 2025/10/31
    公開日: 2025/11/13
    ジャーナル オープンアクセス
    電子付録

    目的:少子化は日本を含む先進国が直面する重大な課題である.少子化対策の一環として,柔軟な働き方を可能にし,仕事と育児の両立を促進する目的で在宅勤務が推進されている.しかしながら,在宅勤務が出生意欲の向上につながるかを調査した研究は少なく,その知見も一貫していない.また,婚姻状況によって在宅勤務の影響は異なる可能性があるが,検証されていない.本研究では,就労する日本の既婚者および未婚者を対象として,在宅勤務の頻度と出生意欲の関連を検討することを目的とした. 方法:本研究は2022年9月から同年10月に実施された日本における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)問題および社会全般に関する健康格差評価研究(JACSIS)のデータを用いた断面研究である.対象者は20歳から45歳のフルタイムで働く勤労者7,998名とした.在宅勤務は過去1か月の頻度を評価した.出生意欲は先行研究の尺度に基づき,1項目9選択肢で評価した.婚姻状況別(既婚者・未婚者)に,修正ポアソン回帰分析を用いて出生意欲の調整済みprevalence ratio(PR)とその95%信頼区間を算出した. 結果:既婚者4,587名のうち月1回以上の在宅勤務を行う人は1,385名(30.2%),出生意欲のある者は2,521名(55.0%)であり,未婚者3,411名における在宅勤務を行う人は923名(27.1%),出生意欲のある者は2,769名(81.2%)であった.婚姻状況によって在宅勤務と出生意欲の関連は異なる傾向にあった(相加的交互作用P値=0.1).既婚者では,在宅勤務をしない群と比べて週2回から3回在宅勤務をする群では出生意欲の割合が低かったものの,月2回から3回在宅勤務をする群と週6~7回の群で有意に出生意欲がある者の割合は高かった(各調整済みPR: 1.15および1.13).一方,未婚者においては,在宅勤務の頻度が多いほど出生意欲がある者の割合は低下し(傾向性P値=0.01),出生意欲のある者の割合は,在宅勤務をしない群と比べて,週6~7回の群では1割ほど有意に低かった(調整済みPR=0.87). 結論:本邦の労働者において,既婚者では在宅勤務が出生意欲を高める方向に働く一方,未婚者では在宅勤務は出生意欲を低める方向に働くことが示唆された.今後,縦断的に在宅勤務が出生意欲や出生行動に与える影響を検討していくことが求められる.

  • 志村 勉, 山口 一郎, 寺田 宙, 吉冨 真理, 牛山 明
    原稿種別: 総説
    2025 年74 巻4 号 p. 412-419
    発行日: 2025/10/31
    公開日: 2025/11/13
    ジャーナル オープンアクセス

    2011年3月に発生した東日本大震災における福島第一原子力発電所事故による放射性物質の環境中への放出により,放射性物質による食品の汚染が懸念された.日本政府は事故の早期および中期段階の緊急時の対応として暫定的な規制値を設定するとともに,地方自治体に食品の検査を要請して規制値を超える濃度の食品の流通を制限した.事故から1年が経過し,長期段階の現存被ばく状況への移行に対応して,暫定規制値は国際機関の指針に従い見直し,事故からの回復期の食の安全を確保するため新たな基準値を設定した.他方,放射性物質汚染への不安から最大で55の国・地域において日本からの農林水産物と食品の輸入が規制された.その後,日本国内での食品を安全に供給する体制が継続して整備され,放射性物質の検査体制が充実され,食品の検査結果が広く国内外に公表されることにより,次第に日本の対策が理解され,事故から10年が経過した2021年頃には多くの国で輸入規制が撤廃された.本稿では,諸外国の輸入規制撤廃の経緯と日本の対応状況を比較し,今後求められる対応のあり方について検討を行う.

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