保健医療科学
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一般社団法人Healthcare BCP コンソーシアムを 拠点として守る災害時の命と健康
中尾 博之 有賀 徹坂本 哲也野口 英一横田 裕行溝端 康光田中 淳
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2019 年 68 巻 2 号 p. 96-102

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抄録

平成16年,内閣府「民間と市場の力を活かした防災戦略の基本的提言」によると,大災害に備えるためには地域連携力や企業との協力体制のある平時社会システムが必要であると述べられている.しかし,災害時のHealthcare 継続計画(Healthcare BCP)においては,平時に行われていないことを,平時と異なる仕組みで実施しなければならない.

地域のHealthcareの組織化と役割分担,地域としてインフラの維持,医薬品の優先供給,避難所状況の把握のもとに,各施設単位でのBCPと地域一体型としての計画,「マクロBCP」が不可欠である.さらに,Healthcare領域,インフラ・医療関連業界,生活レベルを安定化させる業界の 3 層構造間における「組織間学習」による相互理解を行う場が必要である.このような業種を超えた組織間学習の場として,平成29年11月に一般社団法人「Healthcare BCP コンソーシアム(HBC)」を設立するに至った.これは,内閣府が指摘する社会システムともなる.この基本概念は,異職種が目的を達成するためにともに知恵を出し合う機会を持ち,全体としてのレベルアップにつなげていく「能力構築連携」を継続的な進化を伴って成し遂げていくことである.また,災害時の地域医療対応能力は絶妙のバランスで構築された「災害医療の積木構造」からなり,コーディネートに係る経験,知識を持つ人材育成が不可欠である.

岡山県における2018西日本豪雨災害では,連携体制は構築(能力構築連携)されておらず,内外の支援組織(積み木片)を絶妙のバランスでマネジメントするために「倉敷地域災害保健復興連絡会議」(KuraDRO(クラドロ))が設置された.また,早期の保険医療移行は地域医療の底上げに寄与した.一方,準備期からのミクロ及びマクロのBCPを策定する制度がまだ一般的ではなかったために,医療の局所または全体像を俯瞰できる機会を失ってしまった.①被災範囲が比較的狭くために地域外からの支援を受けやすかったこと,②被災地域の結びつきが強かったことによって限局対応で済んだが,大災害では当てはまらない.

HBCを中心として,学術的な助けによる努力評価指標の設定,各種規格設定,教育・訓練仕法の確立を行う必要がある.

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© 2019 国立保健医療科学院
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