保健医療科学
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論文
乳幼児健診の縦断調査からみた4か月時と3歳時の児の睡眠問題と母の睡眠・健康との関連
上田 真寿美 足達 淑子足達 教
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2021 年 70 巻 2 号 p. 186-196

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抄録

目的:夜泣きや就眠困難といった乳幼児期の睡眠問題は母親の健康阻害要因とされるが,乳児期の母児の実態についての研究は少なく,その詳細は不明な点が多い.本研究では 4 か月時と 3 歳時の母児の睡眠問題の変化及び児の睡眠問題と母親の睡眠・健康との関連を検討した.主たる目的は,睡眠問題を 4 か月と 3 歳で有する群と 3 歳で出現した群で,母と児の睡眠・睡眠問題に違いがあるかを明らかにすることであった.

方法:調査対象は 4 か月と 3 歳児健診を受け調査に同意した母児249組であった. 4 か月と 3 歳で睡眠問題を有する児(18名,4M3Y群), 4 か月では問題がなかったが 3 歳で有する児(22名,3Y群), 3 歳で問題がない児(209名,対照群)に分け,母児の睡眠問題と母親の健康状態を比較した.

結果: 3 歳の児の睡眠は4M3Y群が対照群より就床,入眠,覚醒,起床時刻が有意に遅かった.4M3Y群では寝たがらない(61.1%),3Y群では朝の目覚めが悪い(40.9%)が高率であった. 4M3Y群の母親は 4 か月時に睡眠問題が全員にあり,朝の起床困難(66.7%)と昼の眠気(66.7%)が他の 2 群より高率で,健康問題がある者(83.3%)も他の 2 群より有意に多く,不安(27.8%)と手や腕の痛み(55.6%)が対照群より多かったが, 3 歳時では群間差はなかった.

結論:4M3Y群の児は 3 歳で遅寝遅起き,その母親は児が 4 か月時に睡眠と健康状態が不良という特徴があった.

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© 2021 国立保健医療科学院
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