2024 年 73 巻 5 号 p. 391-400
新興感染症の流行は児童生徒や学生の精神的健康に大きな影響を及ぼす.支援においては,ストレス反応やコーピング等を説明するストレスマネジメント教育の実施が想定されるが,実践に関する研究や報告は数少ない.特に,ストレス反応についての理解とコーピングへの動機づけが精神的健康の改善につながる際の過程は明らかでない.筆者らは,ある高等専門学校において,新型コロナウイルス感染症の流行により自宅学習を行なった学生の支援として,オンラインでのストレスマネジメント教育を提供した.そして,ストレス反応についての理解とコーピングへの動機づけが学生の精神的健康の変化とどのように関連するのかを構造方程式モデリングを用いて解析した.その結果,ストレス反応についての理解とコーピングへの動機づけは,それぞれが独立して精神的健康に作用するモデルより,ストレス反応についての理解がコーピングへの動機づけを媒介して精神的健康の変化に関連するモデルの方が適合度が良好であった.この結果から,新興感染症流行中におけるストレスマネジメント教育では,ストレス反応についての理解とコーピングへの動機づけとを独立して教授するよりも,ストレス反応が生じるからこそコーピングを行なってほしいという関連づけた説明が適切であると示唆された.