自然言語処理
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論文
階層意味論に基づいた心的態度のアノテーション
小橋 洋平坂野 達郎
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2011 年 18 巻 4 号 p. 323-350

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抄録

本論文では,日本語コーパス内の命題に書き手の心的態度をアノテーションする基準として階層意味論を検討する.階層意味論とは「命題」と「モダリティ」からなる普遍的な意味構造を規定する概念である.モダリティは心的態度を指す概念として知られているが,既存研究で取り上げられている文法論のモダリティでは対象が文法形式に限定されてしまう.対して階層意味論で定義される「モダリティ」は意味論上の概念であるため形式上の制約が少なく,心的態度を網羅的にアノテーションするという目的により適した概念といえる.ただし,階層意味論で規定される心的態度を母語話者が一貫性を持ってアノテーションできるのか実証的に確認されているとは言い難い.そこで,母語話者に新聞の社説記事に対するアノテーションを実際に行ってもらい,その一貫性を調査した.その結果,4 名の間での Fleiss の κ 係数は,真偽判断系,価値判断,拘束判断でそれぞれ 0.49,0.28,0.70 となった.真偽判断系と価値判断は一致度が高いとは言い難いが,真偽判断系に関しては,述語または後続表現の語彙的機能の影響で真偽を読み取ることが困難な命題を取り除くと 0.58 まで改善した.加えて,語彙,文法形式によって明示的に心的態度が表されていない命題でも 0.50,0.28,0.53 の値を示した.このことから,心的態度を表す語句,文法形式が明示されていなくてもある程度の一貫性が得られることが伺える.

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© 2011 言語処理学会
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